莫友之 ばく・ゆうし

 得百姓之利者富得百姓之死
 者強得百姓之譽者榮  有亂
 君無亂國有治人無治法
百姓の利を得る者は富、百姓の死を得る者は強く、百姓の誉れを得る者は栄ゆ。(『荀子』王覇篇)
乱君ありて乱国なく、治人ありて、治法無し。(『荀子』君道篇)
37p×140.5p

嘉慶16年(1811)生〜同治10年(1871)歿
製作年  不明
 清代後期の学者・書家。與儔の子。字は子偲。郘亭・獨山人などと号した。獨山県(貴州省)の人。詩に長じて、書も真行篆隷をよくした。道光11年(1831)、挙人となったが仕官せず、一時、胡林翼の幕下に入った。胡の死後、曾國藩の幕客として過した。咸豊(1851〜1861)のころ、県令に選ばれたが任官しなかった。さらに他の大臣が、かれの挙行のすぐれていることを推薦して、詔勅を下したが、固辞してつかなかった。同治4年(1865)以降は南京に住んで、金陵書局の出版事業に関与した。また江浙地方を遍歴して古籍善本を採訪した。
 その書はとくに篆隷に長じた。楊守敬は「篆書は嵩山少室闕を学んで、法をとることはなはだ高い」と評し、古拙の中に金石の風があるとして有名である。楷書は六朝碑誌を、大篆は石鼓に学んだ。気宇がやや狭いが、固く古法を守る美しさがある。また碑版の鑑別にもすぐれていた。
 著に『宋元旧本書経眼録』、『遵義府志』、『唐写本説文解字木部箋異』などがある。


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