土屋 鳳洲 つちや ほうしゅう
   

老來生計未金貧
満架圖書託此身
沿倒章盤聊亦之
喜逌七十七敬春
丁己新年
老来たり 生計 未だ金貧たり
満架の図書 此の身を託す
(=反対)に沿い 盤を章(あきらかに)し 聊さか亦た之
喜逌(のびやか)に 七十七 春を敬す
丁己(大正6年)新年
134.7p×44.7p

天保12年(1841)生〜大正15年(1926)歿
制作年  大正6年(1917) 77歳
 名を弘、字は白毅と言い、和泉国(大阪府)岸和田の人。9歳で岸和田藩の藩校講習館に入り、相馬九方に就いて荻生徂徠の古学を学び、19歳で但馬の池田草庵に就いて朱子学や陽明学を学んだ。元治元年(1864)、長州へ遊学した際に、四外国の艦隊による下関砲撃に遭遇した。この経験は『馬関日記』(『近世叢談』に所収)に書かれている。帰途、阪谷朗廬を訪ね、森田節斎の塾にとどまって篠崎小竹・森田節齊に学んだ。詩文をよくし、書も巧であった。その後、藩校講習館の教授となったが、勤皇論を唱えたため獄に繋がれた。
 維新後は、堺県中属、奈良師範学校長、華族女学校教授、東洋大学教授などを歴任し、教育の振興に尽くした。堺時代には家塾「晩晴書院(晩晴塾)」を主宰している。
 鳳洲の詩文はすこぶる多く、時の話題を漢文でうまく表現している。中でも『近世大戦紀略』は、日清・日露の戦闘記事と詩で構成されたもので、漢文による戦記文学の傑作といえる。これは日露戦争終結直後の明治39年(1906)に出版されている。他の著に、『孝経纂釈』『晩晴楼詩鈔』『晩晴楼文鈔』『皇朝言行録』『近世叢談』等がある。
 「鳳洲弘」の下に、白文の「土屋弘印」、朱文回文の「白毅氏」の落款印が押されている。

推奨サイト
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