辻本 九華 つじもと きゅうか
   

朕、惟、遵神武天皇惟神之大道、継一系無窮之宝祚、定萬世不易丕基、以経綸天業。歴朝相承、上、以仁愛之化及下、下、以忠孝之俗奉上、君臣一體、以逮于朕世、茲迎紀元二千六百年。
今也、際非常之世局、當於斯紀元佳節。爾臣民 宜騁思於神武天皇創業、念皇國之宏遠、而皇謨之雄深、和衷戮力、益々發揮國體之精華、致時艱之克服、期勗國威之昂揚對、祖宗之神霊矣。
(=天皇の一人称)、惟うに、神武天皇、惟神(=神を思う)の大道(=人としての正しい道)に遵(したが)い、一系無窮(=同じ血統が永遠に続く)の宝祚(=天皇の位)を継ぎ、万世不易(=永久に変わりのない)の丕基(=大きい基礎)を定め、以って天業(=天皇が国を治める事業)を経綸(=国を治め整え)したまえり。
歴朝(=歴代の朝廷)相承け、上(カミ・天皇)、仁愛の化(=徳による教え導き)を以って下(シモ・臣民)に及ぼし、下(シモ)、忠厚(=忠義に厚い)の俗(=習慣)を以って上に奉じ、君民一体、以って朕が世に逮(およ)び、茲(ここ)に紀元二千六百年を迎う。
今や、非常の世局(=世上の成り行き)に際し、斯(こ)の紀元の佳節(=めでたい日)に当る。爾(なんじ)臣民、宜しく思いを神武天皇の創業に騁(は)せ、皇図(=天皇ノ意図)の宏遠にして、皇謨(=天皇の計画)の雄深(=大きく深い)なるを念(おも)い、和衷(=心の底からうち解ける)戮力(=協力)、益々国体の精華(=最も優れている所)を発揮し、以って時艱(=困難な時)の克服を致し、以って国威の昂揚に勗(つと)め、祖宗(=代々の天皇)の神霊に対(こた)えんことを期すべし。
  ( 紀元二千六百年紀元節の詔書(昭和15年2月11日) 『官報』)
135.6p×32.7p

生没年不明
 辻本九華は奈良の人で、名は丞一郎、字は士恭、号を九華と称し、奈良を中心に活躍した書家で、弟子に橋本柴閣・米田玉泉・永保秋光らがいる。
 「九華道人謹書」の下に、白文の「辻本丞印、朱文の「士恭」の落款が押されている。

推奨サイト
http://www.daito.ac.jp/~oukodou/gallery/pic-508.html


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