河野 鐵兜 こうの てっとう
   

幽寺黄華歌扇露
深山紅葉舞衣風
京華眞篋麗人園
秋在圍香陣粉中
幽寺(=人里離れた寺)の黄華(=菊) 歌扇(=歌妓の持つ扇)の露
深山の紅葉 衣 風に舞う
京華(=花の都) 真に篋(はこ)にして 麗人(=佳人)の園たり
秋在りて 香を囲んで 陣 粉(=粉おしろい)の中
135p×29p

文政8年(1825)生〜慶応3年(1867)歿 
 河野は<かわの>ともいう。江戸後期の医者、漢詩人、俊造と称し鐵兜はその号で秀野人ともいう。文政8年播州網干に生まれ幼にして学を好み神童と称された。
 医を業としたが、のち梁川星巖の門に入り、好く詩学に通じ全国各地に遊学し、遂に江戸に於いて家塾を開く。慶応3年43才にて没す。著書に「覆醤詩談」「鐵兜遺稿」等がある。
 引首印は「秀野」、「秀野人」の下に、白文の「越羆之印」、朱文の「夢吉」の落款印が押されている。


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