
依りて仕ふる 神の御代かも
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食(おほみけ)に 仕へ奉ると 上つ瀬に 鵜川を立ち 下つ瀬に 小網(さで)さし渡す
山川も |

調(みつき)と 春べは 花かざし持ち 秋立てば 黄葉(もみち)をうなり(一は云はく、黄葉かざし)
遊(ゆ)き副(そ)ふ 川し神も 大御 |

高知りまして 登り立ち 国見をせせば 畳はる 青垣山 山神の 奉(まつ)る御 |

幸干吉野宮之時
柿本朝臣人麿作歌
38
やすみしし わご大王(おほきみ) 神ながら 神さびせすと 吉野川 激つ河内に 高殿を |

枕(くさまくら)、旅宿(たびやど)りせす、いにしへ思ひて 46 短歌
安騎の野に 宿る旅人 うちなび |

限(かぎ)る、夕(ゆう)去(さ)り来れば、み雪降る、安騎(あき)の大野に、旗すすき、小竹(しの)を押しなべ、草 |
 山は、真木(まき)立つ、荒き山道を、岩が根、禁樹(さへき)押しなべ、坂鳥(さかとり)の、朝越えまして、玉(たま)限(かぎ)る、夕(ゆう)去(さ)り来れば、み雪降る、安騎(あき)の大野に、旗すすき、小竹(しの)を押しなべ、草枕(くさまくら)、旅宿(たびやど)りせす、いにしへ思ひて
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皇子、神ながら、神さびせすと、太(ふと)敷かす、都を置きて、隠口(こもりく)の、泊瀬(初瀬)の |

45 軽皇子(かるのみこ=文武天皇)が安騎(あき)の野に宿られたとき
やすみしし、我が大君(おおきみ)、高(たか)照らす、日の
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らさむと、神(かむ)ながら、思(おも)ほすなへに、天地(あめつち)も、寄(よ)りてあれこそ |

子(みこ)、荒栲(あらたへ)の、藤原(ふぢはら)が上(うへ)に、食(を)す国を、見したまはむと、みあらかは、高(たか)知(し) |

へり見すれば 月かたぶきぬ 藤原宮の役民(えのみたから)の作れる歌
集歌50
やすみしし、我(わ)が大君(おほきみ)、高(たか)照(て)らす、日の皇 |

過ぎにし君が 形見とぞ来(こ)し
48
東(ひんがし)の野にかぎろひの 立つ見えて か |
 き 寐(い)も寝(ぬ)らめやも 古(いにしへ)思ふに
47
ま草刈る 荒野(あらの)にはあれど 黄葉(もみじば)の |
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