玉璧

面径25cm 良渚文化

玉器の一種。白色また緑色の軟玉(nephrlte)製。円形、扁平で、中央に大孔がある。
『爾雅』には「肉が孔の倍あるものを璧といい、肉と孔とひとしいものを環といい、孔が肉に倍するものを壌という」とある。厳密ではないが、東周のものには、この区別のあるものがある。
『周礼』大宗伯には「蒼璧をもって天に礼し、黄珠をもって地に礼す」という。
壁の用途は天を礼するに限らず、朝親、会同にも用い、日月星辰を祀り、また死体をおさめるにも珠とともに用いる。しかし、その円形であるのは天のシンボルと思われる。
殷・周代の玉璧はたいてい厚手で文様がないので、素璧という。戦国時代になっても穀粒文、あるいは蒲席文の穀璧・蒲璧があるが、かならずしも、『周礼』にいう「穀壁であり蒲璧である」という証拠はない。蒼玉のほかに白玉をつかい、また?竜の彫飾を付加したものがある。
漢代では平面的で、穀粒文のほかに獣頭文がほどこされ、主として埋葬用に用いられる。

中国の著名な漢方薬大全『神農本草』『唐本草』『本草綱目』といった本には全て玉についての記載がある。
李時珍の『本草綱目』金石部第8巻には、
「玉には胃の中の熱を除き、あせりいらだちを除き、毛髪をつややかにし、五腑を滋養し、筋肉をやわらかく、骨を強く、乾きをとめ、心肺を潤し、声喉を助け、魂を安定させ、血脈を良くし耳の聞こえ、目の見え方をはっきりさせるなどの治療効果がある。」と書かれている。


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