蓮葉澄泥硯

 W15.5p×D11.5p×H1.5p

澄泥硯は端渓硯・歙州硯・洮河緑石硯とともに「四大名硯」と言われる。澄泥硯の前進は漢代の陶硯で、先人は瓦の溝からヒントを得て泥の硯を作ったという。
 澄泥硯の製造は晋〜唐に始まり、端渓硯・歙州硯より早い。唐の柳公権は「常に研を評するには青州の石末を第一としている」(「旧唐書」)と評し、宋・欧陽修『硯譜』にも「虢州澄泥は、唐時代の人が硯を評する場合に、これを第一としている。今の人はまれに用いているだけだ」「石硯の比ではない」と言っており、米芾も「相州の人は陶硯を作っている。これはかの銅雀台の瓦以上によろしい。」と書いている。
 澄泥硯の製造方法は秘密で、そのため宋代後期には大半が世の中に伝わらなくなり、清代になると殆ど見られなくなった。1970年代、山西省の関係部門が宋代の製造方法を科学的に究明し、ようやく新製品が世の中に現れてきた。が、製品の成功率は2割もないという。
 澄泥硯は砂泥の調合・焼成温度・焼成時間などによって色調が変る。その色合いから次の六種に分けられる。
  1. 鱔魚黄…鱔魚(田鰻)の背中のようなくすんだ黄色で、質の一番良い。
  2. 緑豆砂…緑豆に青混じりで、鱔魚黄に次ぐ。
  3. 蟹殻青…蟹の殻のような青色に黒混じりで、石の澄泥硯の色に近い。
  4. 玫瑰紫…薔薇の花のようなくすんだ紫色。
  5. 蝦頭紅…蝦の頭のような赤色にほんのりと青が複雑に出る。
  6. 魚肚白…魚の腹のような紅白色。


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