南部 南山 なんぶ なんざん
   

和杜鵑啼
方地水靜見游魚
廻藻從客樂有餘
識爾遙尋荘子趣
長吟鼓腹醉來初

和春草
江色蒼々帯暮雲
子規啼月夜初分
灘頭空有波濤激
難奈哀聲風裏聞
杜鵑(ほととぎす)啼くに和す
方地(=大地)水静かに 游魚を見る
廻藻 客に従って 有餘(=あまり)を楽しむ
(なんじ)を識し遙かに尋ねん 荘子の趣
長吟鼓腹 酔い初めて来る

和春草
江色 蒼々(=青々として) 暮雲(=夕ぐれの雲)帯びる
子規(=ほととぎす)月に啼いて 夜初分ける
灘頭 空有り 波濤(=大きな波)激し
難なり哀声奈せん 風裏聞く
18.5p×15.5p

万治元年(1658)生〜正徳2年(1712)3月7日歿
 肥前長崎の人。名は景衡、字は思聰、南山・環翠園と号す。本姓は小野。南部草寿に学び養子となる。木下順庵に師事し木門十哲の一人といわれる。のち草寿の後を継ぎ富山藩儒となり、詩文を能くした。
 著作に「環翠園史論」「喚起漫草」など。

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