市河 万菴 いちかわ まんあん
   

少樂琴書 偶愛閑靜
開卷有礎 便欣然忘
食見樹木 交蔭時鳥
變聲亦復 歡然有喜
甞言吾五六月
北窓下臥涼風
暫至○
謂是羲皇上人

屠維大荒落皐月上澣
書長者菴鳩居南窓下
少し琴書を楽しみ 偶に閑静を愛す
卷を開けば礎(いしずえ)有り 便く欣び然るに忘る
食して樹木を見れば 蔭に時鳥(ほととぎす)交わる
声を変えて亦た復た 歡然として喜こび有り
甞つて言う 吾 五六月
北窓の下 臥せば涼風
暫らく○に至る
是れ羲皇上人と謂う

屠維(=己)大荒落(=巳)皐月(=五月)上澣
長者菴鳩居南窓下にて書す
羲皇上人=羲皇(=伏羲)以前の人。安楽に世を送っていた太古の人民。
己巳=明治2年(1869)
11.8p×9.7p


 天保9年(1838)3月生〜明治40年(1907)11月歿
制作年 明治2年(1869)5月 32歳
 幕末・明治の書家。市河米庵の実子、三喜の父。名は三兼、通称は昇六、字は叔並。幕府に仕え、江川太郎左衛門、高島秋帆に洋式砲術を学び、鉄砲方となる。父の業を承け、篆隷に長じた。また篆刻・点茶・弾琴も能くした。維新後は大蔵省に勤め、ロンドンで新製したわが国紙幣の文字を書いた。

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