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行 書

行書の学び方

  行書は一言にして楷書と草書の中間にあるというけれども、その中には楷書に近いもの、草書に近いもの、いろいろあって、草書以上に一定の型のないこと寧ち草書以上といってよい位であるが、その用筆に至っては、そう差異のあるものではない。
 
 故に楷書によって書の基本的技法を会得し、草書に於いて運筆の緩急・軽重・筆意の巻絡・変化等を習得し、その手法に熟した上で、その中間にあり、その応用の範囲を出ない行書を学ぶことはさほどの難事ではない筈である。
 


行書の古碑帖 

蘭亭序 神龍半印本・張金界奴本  『書跡名品叢刊 6』二玄社

 行書の古碑帖では、まず何といっても王羲之の蘭亭序に指を屈せぬわけにはゆくまい。
 が、その真迹は遠く唐の世に亡びて、後世に伝わるものはすべて唐代の名手によって臨摸されたものだということになっている。
 更に転々と翻刻されて異本が夥しく三百蘭亭と称される程であるが、その内で初学の臨書の対象として神龍半印本蘭亭序と張金界奴本蘭亭序の二種を推すに躊躇しない。

神龍半印本

張金界奴本

 http://kohkosai.com/rinsyo/gishi/03/03.htm


集字聖教序・興福寺断碑 『書跡名品叢刊 6』二玄社

 何れも唐代に羲之の行書を集字したもので、字数も多く、字画もまた比較的完好で、羲之の劇迹(強い感情が放射される書)として蘭亭序と共に最も著名なものである。

集字聖教序

興福寺断碑

 http://kohkosai.com/rinsyo/gishi/04/04.htm


趙子昴 蘭亭十三跋  『書跡名品叢刊 6』二玄社

 元の趙子昴、明の文徴明などに至っては肉筆も数々残っており、また刻本にしても時代が新しいだけに字画完好で、且つ何れも山陰(王羲之)の正脈を伝えて穏健な筆致であるから、初学始めて古碑帖に入らんとする人々にとって絶好の対象として推奨したい。


趙子昴 再和楊公濟梅花十絶   松篁収蔵拓本http://kohkosai.com/chinaphoto/hirin/Hirin/page/shitu/4/435.htm


文徴明 茶歌帖  https://lab.ndl.go.jp/dl/book/852352?page=1


文徴明 且適園後記書畫冊  『文徴明 且適園後記書畫冊』不凡書店

太宗 晋祠銘  『書跡名品叢刊 13』二玄社

 唐代になって太宗皇帝に晋祠銘・温泉銘などがあり、初唐四大家の一人褚遂良に枯樹賦・哀冊文・行書千字文などがある。


太宗 温泉銘  『書跡名品叢刊 13』二玄社


褚遂良 枯樹賦  『書跡名品叢刊 13』二玄社

褚遂良 哀冊文  『書跡名品叢刊 13』二玄社


褚遂良 行書千字文  『書跡名品叢刊 13』二玄社


李北海 李思訓碑  『書跡名品叢刊 15』二玄社

 稍下って李北海に李思訓碑・麓山寺碑・東林寺碑などの行書がある。


李北海 麓山寺碑  『書跡名品叢刊 15』二玄社


李北海 東林寺碑  『旧拓李北海東林寺碑』有正書局


弘法大師 風信帖

 日本の三筆三蹟のものなどは真蹟が現存するのであるから、筆意を会得し易いわけである。
 風信帖・玉泉帖など穏雅で何人にも適する。

  http://kohkosai.com/rinsyo/japan%20syogaku/1-5-7/1-7.htm

嵯峨天皇 李嶠詩

  http://kohkosai.com/rinsyo/japan%20syogaku/1-8/1-8.htm

橘逸勢 伊都内親王願文

  http://kohkosai.com/rinsyo/japan%20syogaku/1-9/1-9.htm

小野道風 玉泉帖

  ttp://kohkosai.com/rinsyo/japan%20syogaku/2-1/2-1.htm

顔真卿 争坐位稿 『書跡名品叢刊 18』二玄社社

 顔真卿に争坐位稿・祭姪稿・祭伯稿の所謂三稿があって何れも非常に面白いものであるが、もともと草稿で率意の書であるから初学が直ちに飛びついてもよくその妙処を会得することは国難であろう。


顔真卿 祭姪稿 『書跡名品叢刊 18』二玄社


顔真卿 祭伯稿 『書跡名品叢刊 18』二玄社


米元章 方円庵記 『和漢名家習字本大成 第十五巻』平凡社

 宋代では米元章、蘇東坡画家を推す。


蘇東坡 赤壁賦 『書跡名品叢刊 19』二玄社