基本点画と字形のまとめ方 単元W

基本点画

波 法
 このような右払いで抜く画を幾つか重ねて書くと波が押し寄せてくるように見えることから波法と言います。
 まず細い横画を書く場合のように、起筆45°で打ち込み、それを波の形に引き下ろし、徐々に力を加えていったん止めます。このとき筆の表裏は体に対して垂直となり、表が上になります。間違っても線の中心を筆の表が走ってはいけません。そこでやや筆をそばだて、筆鋒の弾力を利用して、要は筆勢をつけて右に引き抜きます。
 長い波筆はその波形の湾曲の程度を顕著にあらわします。即ち前半は覆勢に、後半は仰勢に作ります。最後の筆の抜き方は、あまり急速に失せず、ゆったりと余裕のあるように抜いてください。筆の表裏が一つに収束されていっているように書きます。



結構法  (参考手本参照)

減捺
 捺とは右払いすなわち波筆のことです。波筆は点画の中でも特に目立つもので、波筆の出来如何によって、文字の巧屈が大きく左右されます。1字の中に波筆が2つ以上ある場合には、その両方を払うと繁雑になり、見苦しいものです。この場合には、最も重要な1画のみを波筆に作り、それ以外は軽く止めておきます
 19. 「炎」 …  波筆は1字に1つだけ
 「炎・逢・發」などのように、波法が2つ重なる場合は、必ずどちらかを止め、変化を求めます。波法は特に目立つ画なので1波に限られています。

接筆2
 「目」のしたに左払いがある場合には、下辺の横画を左横に出します。
 20. 「友」 … 左払いの方向を変える
 「友・皮・夏」などは、左払いが重なる文字です。この場合は、止めて変化を求めることができないので、払いの一方をやや湾曲させて変化を求めます。

斜画2
 左払いと右払いとが、中心から両側に開く場合は、相対的に右払いの方を緩やかにし、字形が左前方に傾くようにします。
 21. 「冬」 … 中心を整える
 すべて文字は中心を正しくとることが大切です。令の場合には終りの点を、冬の場合は最後の2点を、吉の場合は口を、といった具合に、それぞれ中心線上に正しく置くことが大切です。

縦画と字の中心
 中心に縦画がある文字は、他の線よりやや太めに、ほぼ垂直ないしは、やや左前方に傾き気味に書きます。中心に縦画のない文字は、中心に縦画を想定し、それがほぼ垂直に感じられるよう力の均衡を計ります。こうした文字は、右上がりになっている横画と、それを右下に引っ張ろうとする強勢とのバランスによって成り立っています。
 22. 「及」 … 中心の定めにくい文字 
 「了・寸・及」などは中心の画が求めずらい文字です。中心に縦画を想定して書いてください。

重畳法
 縦に重なる部分から成る「炎・霊」などの文字は、下部の中心線を上部の中心線よりも微妙に右にずらして、字形全体をやや左前方に傾けます。こうすることで右下に重心が寄り、横画を右上がりに書かずとも右上がりに見え、文字が安定します。
 23. 「霊」 … 下部を右にずらす
 縦に重なる部分から成る字は、下の部分をわずかに右にずらして、字形が左前方に傾くようにします。こうすることで、右上がりに見える効果があります。

シンニョウ
 24. 「道」 … 甦の文字は頭大に
 甦の掛かる文字はやや頭大に書き、甦はやや離して、その間に余裕を取ります。また頭部は波法の三角形の部分までに収めます。