基本点画
横画
横画には、仰勢(ぎょうせい・上に反るもの)、平勢(へいせい・真っ直ぐなもの)、俯勢(ふせい・下に反るもの)の3パターンの変化があります。仰勢・平勢は主として短い画に用い、終筆は強く押さえません。いずれの場合も途中で力を緩めてはいけませんが、特に俯勢のような長い横画ほどとかく途中で筆が浮いて力が抜けやすいので注意しましょう。
(筆の表裏を表わした図(太線が筆の表)と、骨法(運筆の芯になる部分)を表わした図も添えておきます。参考にしてください)
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縦画
縦画にも3パターンがあります。Aは背勢になっていて、横画を縦にしただけで、筆使いは同じです。Bは懸針(けんしん)といって、筆先を揃えて引き抜くように書きます。Cは垂露(すいろ)といい、露が葉の先で珠になるように、スッと流した筆先がポタッと止まり、そのまま持ち上げる書き方です。
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結構法 (参考手本参照)
点画の変化と統一
楷書は力の均衡によって成り立っています。例えば、右上がりになっている横画を安定させるには、右下方向に引っ張る力を必要とします。この力は、すべての文字に様々に形を変えて働いています。
また、一字の内に同じような点画が重なるときは、形の上に長短・背勢向勢・曲直などの変化を求め、力の上にもまた軽重・強弱の変化を求めます。しかし、ここで最も注意するのは、変化の内にも自ら統一がなければなりません。統一の上での変化です。くれぐれも注意しましょう。
横画 1
横画は必ず右上がりに作ります。長い画は俯勢にして少し下にそらせ気味にし、さらに収筆部分を強くして、安定感を持たせます。短い画は長い画よりも右上がりの角度を大きくします。また文字の上端の短い横画は、仰勢にしてやや上にそらせるのが一般的です。
1. 「工」 … 偏平に作る文字
「工・十・血」などは偏平に書くとバランスが取れます。
2. 「七」 … 横画を右上がりに
「七・毛・也」などは下部が右側に片寄るので、横画を右上がりにしてバランスを取ります。
縦画 1
字形がほぼ正立して安定するように、縦画は垂直ないしわずかに左前方に傾けます。
3. 「上」 … 三角形の文字
文字にはそれぞれの顔(外形)があります。「上・下・火」などは三角形に作ります。
空間の等分割 1
横画や縦画が並ぶ場合は、ほぼ平行に書き、距離を等しくあけます。また点画で囲まれた幾つかの空間の面積がほぼ等しく見えるように作ります。
4. 「川」 … 分間を揃える
横画・縦画が1字の中に幾つも重なるときは、その各画の間のアキを揃え、広いところや狭いところを作らないようにします。
大小・太細
画数の少ない字は、点画を太くして小さめに書きます。逆に、画数の多い字は点画を細くして大きめに書きます。
5. 「土」 … 肉太に作る文字
「土・山・大」など画数の少ない文字は、やや小さめに肉太に書きます。
6. 「重」 … 両雄並び立たず
長い横画が2本ある時は、一方を長くし、互いに争うのを避けます。
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