第一碑石陳列棟

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李勣碑を中心として、左右に陳列棟があります。2棟の碑石陳列室は、それぞれ3つの連なった部屋から成っています。オープンした当時は碑石・墓誌は壁に沿って整然と展示されていました。現在は位置は変りませんが、碑石・墓誌は壁にはめ込まれ、碑陰・碑側はほとんど見えません。地震対策でしょうが残念です。
 しかし、鉄の枠で囲まれ工事現場のような西安碑林に比べ、ゆったりとしています。部屋の中央が空いているためでしょうか。また、曲阜碑林のように手すりで仕切られてなく、触れられるのもありがたい。もちろん、マナー違反だが。
 それにその大半が初唐の碑石・墓誌で、唐の時代にタイムスリップできるのが、なにより嬉しい。館内の解説パネルには、昭陵には名家の書が点在していたために、かえって金石学的興味をそそり、かつて拓字者が多く、そのため土民はこれを恨み、ことごとく文字を叩きつぶしたとあります。
 確かに、展示されている昭陵の碑石は、碑の手の届く限りはみな潰されています。上部の方に、あるいは土中に埋没していた部分に、幾らか残されていますが、ほとんどが明瞭ではありません。
 これに対し、出土した墓誌銘は極めて見好です。そのほとんどが碑石と向かい合う採光用の窓側に、拓本を背にしてならんでいます。まずは左側の第一碑石陳列棟から見学することにします。

 上の写真はその入り口ですが、左手の丸い門の奥が研究室、10年一日といいますが、20年近く経ってもまったく変りません。昭和53年以来これで4回、ここを訪れましたが、この興奮と言おうか胸の高鳴りは言いようもありません。
 碑石陳列棟は左右とも、3つの部屋が縦に並んでいます。入り口を入るとすぐ、ゆるいスロープの階段があり、最初の部屋は1mほど低くなっています。中央の部屋は更に1mほど低くなっていて、一番奥の部屋は最初の部屋と同じ高さになっています。雨が降ったら水が溜まるんじゃないかなどと考えましたが、ここは黄土地帯、そんな心配はないようです。掲載した配置図は私の作成したものですが、それに沿って手記を紹介します。

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