安守忠墓誌・蓋

 安守忠は、あざなは信臣といい、後周の陳王・安審埼の子です。後の宋の太祖・趙匡胤と親交が厚く、太祖が天下を定めると重用されました。『宋史』に詳しく伝が載っています。官は威徳軍節度観察留後に至りました。69歳で亡くなり、太尉を追贈されました。
 墓誌の書は、いかにも王羲之風をよく習ったもので、いわゆる「院体」と呼ばれる、官吏の正格です。ここにも、伝統の力強さを感じます。蓋の篆書もみごとで、書者の呉郢の力量を感じさせます。