張府君墓誌・蓋

 張怙は、両唐書には名が見付かりません。墓誌によれば、代宗の息女・楽安公主に仕えて、朝請大夫に拝し、紫金魚帯を賜りました。『新唐書』の諸公主伝には、代宗の18女が記されていますが、楽安公主の名は見付かりません。同書には、怙の父の清が、粛宗の第5女・郯国公主に仕えたとあります。また、両唐書の突厥伝には、祖父の去逸が突厥の闕特勒が亡くなったとき、金吾将軍の官を佩び、勅命によって弔祭に赴いたとあります。
 撰者の崔復本も、書者の楊も史伝に見えず、墓誌に見える官職以外はわかりません。
 書は温和で、《会王墓誌銘》を思わせ、なお唐代固有の格調を存しています。