張倹及妻胡氏墓誌・蓋

 張倹については史伝に見付かりません。誌文によると、あざなは叔略、河陰の人です。はじめ北斉に仕え、のち周に従いました。隋に入って、開皇5年(585) に亡くなりました。夫人の胡氏は、仁寿2年(602)に亡くなり、翌年に合葬されました。
 書は、完白を思わせる重厚で、渾茂な隷書で、《爾朱敞墓誌》と近似しています。やや重い感じもしますが、落ち着いた書といえます。《爾朱敞墓誌》と同一人でないにしても、同系の人と思われます。