宣武帝嬪李氏墓誌

 世宗宣武帝の嬪李氏は、誌文によれば、使持節・冠軍将軍・安川刺史・固安侯の李静の孫です。父は、殿中将軍・領齋師主・馬左右を勤めた事續寳です。李氏は孝昌2年8月6日、洛陽で亡くなりました。
 墓誌の書は、ゆったりとして懐が広く、筆にうねりこそありませんが、晩年の褚遂良を思わせます。やわらかい羊毛に、濃墨を含ませ、筆先を利かせてゆっくり運筆したような感じです。北魏にあって、この墓誌は南朝のムードの強いもので、優雅な宮殿での生活を忍ばせます。