元簡妻常妃墓誌・蓋

 この蓋には陽刻で、「太保齊郡順正常妃誌銘」とあります。「太保齊郡順王」とは、元簡のことです。
 元簡は、あざなを叔亮といい、高宗文成帝の次男です。齊郡王に封ぜられ、官が太保に至ったことから、このように表記されます。そこで、「太保齊郡順正常妃誌銘」とは、元簡の妻常妃の墓誌銘ということになります。
 この書は、立碑が許され唐に至る流れの中で、碑額に多く見られるようになる篆書に隷書の筆意の加わった独特なものです。