元愿平妻王氏墓誌

 誌文によれば、夫人王氏は高句麗楽浪の豪族の出身です。夫の元愿平は安定靖王休の次男で、元の兄にあたります。この墓誌については、羅振玉『松翁近稿補遺』に、詳しい考証がなされていますので、参照して下さい。
 書は、北魏の直線的な力強い楷書をべースとしていますが、顔真卿の新法を思わせる湾曲した横画が加わっています。鄭道昭の筆法の先駆的なムードがあり、懐が広く、全体としては落ち着いた独特の雰囲気を作り出しています。