香節図

 この石刻画は、絵と讃とのバランスが絶妙です。絵に対する書の大きさ位置、書に対する絵の位置大きさは良く調和し、さらに黒大理石にこれだけの絵と書を残した筆者百石翁賈鉉の妙技に接することによって、彼の画境の一般とその名声を想像することができ、また彼の絵には詩があり思想があるように思われます。
 図の左上には、「芳しさが深長で味わいのあるのは蘭の徳である。強くてまっすぐで折れにくいのは竹の節操である。こうしたことから、蘭には王者の香があり、竹には君子の品格があるといわれている。私はこの二つを愛し、そこでこれを写しとったのである。初生の蘭竹を育てるものは、太柔なることを失ってはならないし、また太剛すぎてもいけない。剛と柔とを同時に求めることは容易でないが、その剛と柔とがよく調和すると、蘭竹の気韻が生じ、写しとるとき不思議な霊気が漂うが、そうかといって自らそれに満足するものは少ない。私は仕事の余暇にたまたまこの石に蘭竹を描いたが、それは自らのことをこの蘭竹にかこつけるのではなく、蘭と竹の面目を素直に現わそうとするだけである。」と刻されています。