蔵公神道碑(蔵懐恪碑)

 この碑は、唐の大歴年間の将軍・蔵懐恪の記念碑です。そこで《蔵懐恪碑》とも呼ばれます。顔真卿が撰し、書しています。2行目の下方に李秀巌が模刻したと刻されています。
 この碑は、顔真卿の後年の「顔体」の成熟期にあたりますが、大歴以後の諸碑とは異なり、やや痩細っています。随所に背勢の風が見られ、「顔体」の早期の面影をうかがわせます。また一部に行書の筆使いが見られます。これらの特徴は《郭氏家廟碑》の碑陰とも共通しています。あるいは模刻によって別の作為が加わったためか、今後の研究が待たれます。