武都太守等題名残碑

 碑文は磨滅が激しいわりに、残っている文字ははっきりしています。それらの官制や地名から考証すると、華山を遊覧した後、記念に建てた碑のようです。
 華山は中国五岳の一つで、漢代には遊覧や祭祀が行われていました。華岳廟には、かつては多くの記念碑がありましたが、そのほとんどが壊れ、その意味でもこの残碑は貴重なものといえます。
 文字は意気盛んで、伸び伸びしており、才知がずば抜けています。隷書の筆法も完成しており、「曹全碑」と近似する秀麗さを感じます。結構もバランスがとれ、日本書道界で持て囃されないのが不思議なくらいです。