抄高僧伝序

 夢英は、衡州の人で、宣義と号しました。十八体書を学び、特に篆書に巧みでした。夢英の詳細な記録は見付かりませんが、《道因法師碑》の碑陰に《贈夢英大師詩》が刻されています。このことからして、太宗の頃の有名な僧侶と思われます。
 この碑は、行24字、17行に書かれ、その上に篆書の題字があります。その行書は直線的で厳しく、どこか李北海を感じます。懐を狭く引き締めた結構には、修業を積み、自らを律する態度が見られます。文字を構成する細い線は、より一層そうしたムードを醸し出しています。南山に籠ったという夢英の姿が想像されます。