夏(二里頭文化)

ほぼ前21世紀〜前16世紀

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卜骨
長さ12p
河南省鄭州市洛達廟出土

二里頭文化遺跡分布図
 この卜骨はヒツジの肩胛骨です。夏代の卜骨はたいてい加工されていません。
 
 二里頭文化は、『史記』に記述されている夏朝の文化ではないかといわれています。年代はおよそ紀元前17世紀から紀元前11世紀で夏の禹から桀に至る特定された時期を指しており、文献に記されている14世・17王の約400年間余りの文化遺存を包括しています。
 地域としては上記分布図の通り、河南省西北部の洛陽平原・穎水上流の登封・禹県一帯(二里頭類型)と、山西省南部の汾水下流域(東下馮類型)の2地域があります。この二つの類型には類似点も相違点がありますが、これは両者の地域差を反映したものと思われます。
 商代(二里崗文化・日本では殷早期)に先行し、商文化の出現によって妨げられ、そしてこれに融合され、しかも伝承の夏人の活動地域内において発展してきた、ある独自の特徴を備えた文化、それが二里頭文化です。



二里頭宮殿模型写真

二里頭遺跡出土陶器に刻まれた符号表

刻画符号陶片
1974年山西省夏県東下馮出土

刻画符号陶片
河南省臨汝県煤山出土

刻画符号陶片
河南省臨汝県煤山出土
 刻画符号とは、仰韶文化の陶器の外側上縁の黒色帯に刻された符号(陜西省博物館・半坡博物館に展示されています)に始まり、漢代にまで至ります。これらは、大汶口文化の図象とは異なると考えます。また、近年発見された山東省の丁公村遺跡出土陶片や、高郵龍虬庄遺跡出土陶片は異部族(古彝族など)の文字ではないかと考察されています。しかし、この刻画符号についての研究(古文字学)は未だ始まっていないといった段階です。
呉城刻符(帯字陶鉢)
1974年江西省清江県呉城村出土

 既述の刻符(刻画符号)や図象符号が1字〜2字なのと異なり、文のようになっている点に注目されています。1字では、単にマークかもしれませんが、これが言葉を書き綴ったものであれば、「文字」といえるでしょう。
 実際にこれを解読する説がいくつかあります。しかし、呉城という地域からして、これが黄河文明と同じ部族・言語に属するか疑問があります。


銅爵
1984年河南省偃師県二里頭出土
玉鉞
1974年偃師県二里頭出土
陶爵
1973年偃師県二里頭出土
 爵とは酒器の一種です。これらの銅爵は、今までに中国で発見された最も古い青銅容器です。 長さ11.3p、刃渡り7p。玉鉞は礼器で、権力を象徴するものです。

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